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2022.08.07
印鑑について
日常業務で印鑑は頻繁につかわれる道具だと思います。皆さんもさまざまな場面で押印することが多いと思いますが、押印はご承知のとおり、当該書面を作成した、又は内容を了解・了承した、という意味を持たせる重要な行為であり、法律上も重要な効果を持たせています。
例えば、民事訴訟法上、本人の押印がある文書は真正に成立したものと推定されます(民事訴訟法228条4項)。つまり、他人がAさんの印鑑を使って文書を勝手に作成したとしても、その文書は、Aさんが作成したものと推定されてしまいます。そのため、偽造を主張する側、つまりAさんがこの推定を覆さなければなりません。
また、自筆証書遺言では、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、これに印を押さなければなりません(民法968条1項。ただし目録について2項にて例外の定めあり)。印を欠いたものは無効となります。
この点、いわゆる花押(サインのようなもの)があっても印が無いためその遺言は無効である、という判決が以前注目されました(平成28年6月3日最高裁)。他方で、文面上には押印がなくとも、2枚からなる書面の1枚目と2枚目にまたがり「契印」がある場合には有効であると判断された事例もあります(平成28年3月25日東京地裁)。
さて、ここで「契印」という言葉が出てきました。このような「●印」という言葉は結構多く、「契印」のほかにも、「押印」「認め印」「訂正印」「止め印」「割印」「捨印」などという言葉が使われます(「契印」と「割印」の違い、説明できますか?契印は複数ページにまたがるように押す印で、割印は、複数の文書にまたがるよう押す印です)。
このなかで要注意なのは「捨印」です。後で訂正が出来るように、予め押しておくのが「捨印」です。相手を信頼できる場合にのみ、捨印を押すようにしましょう。